【ヴィオレッタ】 2011年フランス映画 母と娘の確執の先は、、、

Documentary.実話
幼い美しさが人生を狂わせた。
スクリーンに映し出されるドールのような少女は妖艶でどこかアンバランスであるがそれがかえって魅力的。
エヴァ・イオネスコ監督自身の実話をもとに映画化されたこの作品はロリータ映画ではなく親のあり方を考えさせられる奥深い内容とメッセージ性がある。
写真家の母アンナは幼い我が子ヴィオレッタ(アナマリア・ヴァルトロメイ)を自分の写真の被写体モデルにする。
ビッチな服装やメイク、悩殺させるようなポーズに不気味なモチーフ、それは日に日にエスカレートし、やがてヌードやトイレのシーンまで強要する。
普通であることを否定する母はバタイユの著書を読む事を強いる。拒否するヴィオレッタに対しバルテュスやルイスキャロルを切り出し芸術であることを主張。
ヴィオレッタとタイトルされているが、母アンナの人間像を語っている印象が強い。
アンナは暴力による虐待はしない。むしろ子供への強い愛情は感じられるのだが、ヴィオレッタにとっては方向違いの愛が心の虐待となり逃げ場を失っている。
《アンナ》
アンナの生い立ちや環境が人格形成に影響したんだと思う
アンナのモデルはエヴァ・イオネスコ監督の母で日本でも個展を開催されている有名写真家イリナ・イオネスコ。
複雑な境遇に生まれ(映画の中では15歳の母と祖父の近親相姦を匂わせるような設定)母はアンナを捨て駆け落ち、祖母に押し付ける形で親に裏切られたようなかたちで育った。写真表現はできても愛情表現がうまくできない。子供の目線で考えたり与えることもできない。
ルーマニアからの移民が新天地のパリで女ひとりで子供と確執のある祖母ふたりを養わなければならない。
フランスは日本よりもシングルマザーへの待遇は良いと聞くが、1950年前後はどうだったのだろう。
まともに教育を受けたとは思われない貧困家庭の女性が定職に就ける可能性は皆無に等しいのではないだろうか。
 
以前フランスを訪れた時に、画家の知人が安価で芸術家に提供されるアトリエ兼アパルトマンや額縁屋へ案内されたことかあった。
優れた額縁職人は国宝的な認定をされるそうで、職人さんは謙遜しつつも誇らしげに賞状やトロフィーが飾られていた。
フランスは芸術面においての待遇は日本よりはるかに良くアーチストは住みやすい国と感じた。
 
アンナは画家としての才能はなかったが写真家として芸術道を進めると確信。
そして悪い言い方をすれば、目の前にただ同然の最高級の料理を作れる食材(ヴィオレッタ)があれば使わない手はない。
それは芸術家としての地位の確保であり、収入を得て生きていくための手段でもあり、ゆくゆくはヴィオレッタがモデルとしての生きる将来も期待できる。
しかし我が子の裸体を世にさらけ出し売る行為でもあるのだ。
 
身近な環境に置き換えて考えると、子供の将来のためと塾や習い事を強要する親社会に共通する部分を感じる。
親は子供の将来を考え、子供は将来より暖かい愛に包まれた今を生きたいのだ。
 
エヴァ・イオネスコ監督(ヴィオレッタ自身)
インタビューでは実話そのままではホラーになるから柔らかく描いたそうですがその言葉から想像をはるかに超える状況であったのでしょう。
硬い表情からもいまも引き摺っているトラウマの深さが伺われた。
キャスト選びは最高で、ファッション性も強く、洋服のコーディネイトも素晴らしく多方面において見ごたえがある良い映画でした。
息子さんのルーカス・イオネスコが俳優としてご活躍のようなので幸せな家庭も持たれているのでしょうか。
 
 
アンナ役の女優イザベル・ユペール
 演技力は圧感。
 内容を覚えている映画は4作品だけですが毎回全く違う演技で役を演じきる女優さんという印象。
 ★『ピアニスト』
   ★『愛、アムール』娘役で少し登場する程度でしたが、高齢化社会を知る意味でも1度は観るべき映画です。悲しすぎて2度は観れない。
     ※ジャン=ルイ・トランティニャン、エマニュエル・リヴァ、の夫婦の演技が素晴らしく、若き日を知っているファンをがっかりさせない名演
   ★『 間奏曲はパリで』ヴィオレッタとは真逆の野暮ったい田舎の主婦を演じたが、脚本演出がちょっと残念。
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