【かくも長き不在】1961年フランス映画 幻の名作初のDVD化

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再びモノクロの幕が上がる。
ゆっくりした流れの移りゆく景色の中で舞台の芝居が演じられているよう。
淡々とパンフォーカスする美しい背景。
カフェのアルコール瓶の選択や配置、装飾品にも気を配ったような店内、オペラを流すジュークボックス、奥の風景や客にも目を引く。
時期はパリ祭の終わる前後、カフェ CAFE DE VIEILLE EGLISE を営む女主人テレーズ(アリダ・ヴァリ)。
店の前を通るようになった記憶喪失の浮浪者(ジョルジュ・ウィルソン)。
彼は行方不明の夫アベールにあまりに似ている。
不安や怖さに躊躇しながらも少しずつ距離を縮めていく。
彼ははたして自分の夫なのか、記憶は取り戻せるのか、、、、、、、
シンプルなストーリーを美しいアングルでとらえながらゆっくりと進んでいく。
ワンカット、ワンカットが見事な構図で芸術作品になっている。
同年アンリ・コルピ監督が編集に携わっている『去年マリエンバートで』的なラストシーンで幕を閉じる。
優雅な時間と清らかな心を貰える。
もし自分が幼い頃(モノクロ時代)にこの映画を観ていたらスローペースの展開がわかりやすく純粋に単純に物語に感動するだろう。
もし自分が映画知識もあまりない思春期やバブル期、適齢期に観ていたらモノクロへの抵抗や多少じれったいかもしれない。
更に年齢と人生経験を重ね、多くの映画や絵に触れてきた今だから素晴らしさが理解できたのかもしれない。
カメラ、セリフ、間、キャスト全てにこだわりを感じる『シンプル イズ ベスト』な奥の深い大人の名作と言えよう。
     ↑予告動画
原作は『愛人 ラマン』の主人公であるマルグリット・デュラス
   広島を舞台にした『二十四時間の情事』(ヒロシマヒロシマ・モナール)でも有名(若き日の美しいエマニュエル・リヴァ主演)
 
『去年マリエンバートで』は他に類を見ない独特な蝋人形館での舞踏のような映画だったが黒澤監督の影響を受けて作られた記事を読んだことがある。両作品に携わっているアンリ・コルピ監督も原作者も当時の日本文化を意識しているのであろう。
また黒澤監督の選ぶ名作の中に両映画とも含まれているのは興味深い。卵が先か鶏が先か詳細まではわからないが、日仏間で巨匠たちも影響し合い高め合ってきたのだろう。[amazonjs asin=”B078WDNN87″ locale=”JP” tmpl=”Small” title=”かくも長き不在 デジタル修復版 Blu-ray”]

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