【クラッシュ】2004年アメリカ映画  浮き世のサガを垣間見る

AMERICAN
《ケガの傷口が広がる》
多民族が入り混じり、人種差別や、異文化による各々の考え方の違いが生むアメリカの悲劇。
2組ずつのカップルに起こる理不尽な出来事が幾多にも重なり絡み合っていく
自分は正しいと思ってとった行動が、相手にとっては悪と化する。
窮地に立たされた時自分を救ってくれたのは信頼している友や家族でなく皮肉にも敬遠する相手であったありもする。
身近に起こるような問題が火種ととなりその炎は広がる。
ストーリーはファインダーを覗く第三者の目のごとく淡々と進む。
目が離せなくなる。
主演は個人でなく、他の映画でもよく目にするお馴染みの豪華スターの面々。
ドン・チードル、マット・ディロン、ブレンダン・フレイザー、サンドラ・ブロック、ウィリアム・フィクナー、テレンス・ハワード、マイケル・ペーニャ(etc….)が、人間の内面の醜さを見せ全米映画俳優組合賞キャスト賞を受賞。
《時代背景》
2003年アメリカが主体となったイラク戦争が始まった
また同年8月4日アメリカ北東部とカナダ南東部で大停電が発生し、交通機関が麻痺したニューヨークでは多くの帰宅者がブルックリン橋を徒歩で渡った。停電は2日間続き、5000万人が影響を受けている。停電のきっかけは送電線と樹木の接触だった。設備故障や人的ミスも重なり、大規模な災害に発展(ナショナル ジオグラフィック NEWS 2012.09.06引用)
この映画は同年のアカデミー賞有力候補の『ブロークバック・マウンテン』に作品賞を奪われたそうだ。
 原案はもっと以前のポール・ハギス監督自身に起こったカージャック事件がきっかけのようだが、どちらの映画にも複雑さや悲しみ、闇の部分がある映画だ。この時期のアメリカ社会が影響していたのかもしれない。
《結末の無い結末、クラッシュは不滅か
身近な問題は誰にでも起こる。今後も続きまた繰り返されることを暗示させる結末は社会へのメッセージのようだ。
気づきによって偏見を改める人、誤解から罪を作り落下する人。
人種差別は昔より和らいできてはいてもゼロにはならないし、平等な立場にも思考の相違や事故は尽きない。
鑑賞後の爽快感はないが、複雑な構成でまとめられた完成度の高い映画だ。
ポール・ハギス監督
監督のポール・ハギス、は別の作品でも人間の絡み合いを描いている。
『サード・パーソン』も3組の絡み合いにより構成する終盤が見逃せない
《日本でのクラッシュのような出来事》
『相撲の春巡業で、土俵で挨拶中倒れた市長に救命措置をした女性に対し土俵から降りるよう命じらられた事件』が記憶に新しい。
この映画のひとコマに属するような理不尽な出来事だった。
 
《備考》
刑事役のひとりとして出演していたマット・ディロンが敵役で、いじめのリーダーとして出演していた『マイ・ボディーガード』は感想ブログをアップしています。 [amazonjs asin=”B006IW5ES2″ locale=”JP” tmpl=”Small” title=”クラッシュ Blu-ray”]

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