【サマーストーリー】1988年イギリス映画 行きずりの恋の重みは計り知れない・A Summer Story

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《原作はノーベル文学賞を受賞のジョン・ゴールズワージーの「林檎の木
1900年初頭、イギリスの田舎ダートムアでのこと『シャーロック・ホームズ バスカヴィル家の犬』の舞台でもある。)
ロンドンの若き弁護士フランク・アシュトン(ジェームズ・ウィルビー)は友人のロバート・ガートン(ハリー・バートン)と共に徒歩で旅行中、足を捻挫し農家の民宿に宿泊する。
ガートンは退屈さに耐えきれず先に戻ってしまった。
残ったフランクと民宿に引き取られ住込みで働く娘ミーガン(イモジェン・スタップス)は急速に惹かれ合うようになる。
ミーガンを想う民家の息子の見苦しいまでの嫉妬を受けることでふたりの愛は益々燃え上がり駆け落ちを計画するのだが、、、
 
ミーガンは、素朴な美しさと自分の意志を貫く頑固な面を持つ女性。捻挫に薬草を貼ったり、ウイキョウ(フェンネル)のケーキを作ったりお酒に魔法の粉を加えるような、家庭的な女性。
都会よりも田舎が似合い、一途な恋愛をする。
《少しネタバレ含みます》
フランクはその場に流されやすくやや優柔不断な性格。
よく旅行先やスキー場で知り合ったゆきずりの恋がいつもの暮らしに戻ると急に熱が冷めてしまう話を聞くが彼もまた然り、そしてやはり育ちが良いエリートなのだ。穏やかで優しいようでも責任感が足らないし一番愛しているのは他でもない自分自身。
騙すつもりの悪党な心は無く、むしろ恋愛は奥手で純粋な想いでもあった。
駆け落ちするためのお金を工面するため一足先に出て立ち寄った町で偶然旧友フィル・ハリディ(ジョン・エルムズ)とその妹ステラ(ソフィー・ウォード)達3姉妹に出会うまでは、フランクは身分違いの恋でも良いと真剣にミーガンとの結婚を考えていた。
フランクが住むロンドンとダートムアは300Km少々。
当時は場所の距離以上に、教育マナー躾などの身分格差や境遇によるふたりの距離が遠すぎた。
田舎が合うミーガンと、教養があり都会的で洗練されたステラを無意識に天秤にかけるようになる。
フランクが駆け落ち前に幾多の災難が重なったことで逆らえない運命を感じ、人生の選択を変えたことは咎められないが、黙ってミーガンから逃げたことが残酷な償えない罪であり、一生背負う十字架となったのだ。
フランクの心の変化を追いながらフランクの目線でドラマは進んでいく。
ラストシーンですれ違った青年に、フランクは声をかけず過ぎ去った。
憔悴からかなのか。
自分への慰みのほうが、他人に向ける心よりも優先するフランクの昔と変わらぬ冷たい部分なのか。
映画は美しく涙と共に幕を閉じたが、フランクに一言、青年に対する責任や義務は自覚して今度はどうか黙って逃げないで欲しい。
珠玉の名作としてお勧めの1本です。
《同性愛から身分違いの純愛の役へ》
ジェームズ・ウィルビー主役の『モーリス』モーリス4K)制作公開に続く1年後【サマーストーリー】が公開されている。
共に時代設定も1900年代初頭で近い。
そして皮肉にもフランクは、『モーリス』で恋の相手であったクライブ(ヒュー・グラント))が選んだような人生の選択をしている。
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