【undo (アンドゥー)】1994年邦画 岩井俊二監督の美学はまるで動く画集

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《ワンカットワンカットがアートな作品》短編上映時間45分
『アンドリュー・ワイエス』の画集を思わせる世界観。
構図やアングルの撮り方、動く芸術に目を奪われる。
室内の内装や配置もインテリアの本を見ているようだ。
壁にたくさんのポスターや写真やカード、そして大きなキャンバスの絵が置かれているが生活感のあるものがほとんど無い。
冷蔵庫を開けるシーンも、キッチンは見当たらない。部屋の観葉植物と大きな額絵の間にぽつんと置かれている。
刷毛跡の残るデコボコしたコンクリの壁、高い天井、装飾のような位置に置かれた配管。
雑多なようで計算されたディスプレイの室内。
その中に溶け込んで生活しているのは夫の由起夫(豊川悦司)と妻の萌実(山口智子)のふたり。
しぐさや配置、切り返しが、現実には不自然だったりするが不自然と感じない。
カウンセラー(田口トモロヲ)との会話する時のスタイルや、金網越しにタクシーに乗っている様子なども興味深い。
由起夫の本棚には洋書しか無い。外国人や帰国子女には見えない。
だからと言ってこの本棚に日本語があることは許されないのだ。

《壊れていく妻》
ある日由起夫が2匹の亀を買ってきた。
一匹は甲羅にドリルで穴をあけ紐で繋いだがもう一匹は繋がずに自由な座敷亀のままにした。
まもなく萌実の歯列矯正が終わり金具を外した。
本来はすっきりするのだろうが彼女にとってはあたりまえに身についていたものを失ったことが逆に違和感となる。
この小さな束縛と解放が、夫婦間の心の食い違いと同化していく。
萌実は無防備で本能のまま生きているような女性に見えるが、愛の束縛に異常なほど飢えている。
決して由起夫の心が離れたわけではなくお互い愛し合っているのだが、夫だけを思う萌実と仕事で多忙な夫との愛情の重さのズレによる不安ではないだろうか。
萌実は「強迫性緊縛症候群」という病にかかり、家の中のものを紐で縛り始めた。
それは日に日にエスカレートしやがて狂気と化し「私を縛ってよ」とい言い始める。

《萌実役山口智子》
トレンディードラマの影響か理知的なOLのようなピシッとしたイメージが強いが、全く違う萌実役。
ナチュラルでふんわりした萌実は新鮮で、狂気的な鋭い眼差しで迫る萌実はミステリアスで、目をみはるほど美しかった。

《感想・タイトルの意味》
当初、タイトルを「ウンドウ(運動)」と読んでいた。でももしかすると「ユニドウ」だろうか?
読み方が「アンドゥー」だと知った時は、そうかフランス語の1・2・3 アン・ ドゥ ・トロワからきているのか、、
フランス語はこの映画に合うな、と一人で勝手に納得、、、、、
あとで やっと英語の『un do』(意味・元に戻す、結果を台なしにする)
にたどり着きましたが、、、、、
私の単細胞な想像こそundoたっだかもしれません。

ジャンル分けすると、ファンタスティックサスペンスのようなイメージでしょうか。
岩井俊二監督の美学、世界観が伝わる芸術作品。
この映画は好みが分かれそうですが、undoな私にはしっくりくる、素晴らしい映画でした。[amazonjs asin=”B01HHID9SM” locale=”JP” tmpl=”Small” title=”【早期購入特典あり】undo(「リップヴァンウィンクルの花嫁」オリジナルクリアファイル(A4サイズ)付) Blu-ray”]

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