【普通の人々】1980年アメリカ映画 観ておきたい珠玉の名作ドラマ映画・Ordinary People

AMERICAN
《容易くは変わらない家族の愛情の重さ》 ★ネタバレあり
弁護士のカルビン・ジャレット(ドナルド・サザーランド)は妻のベス(メアリー・タイラー・ムーア)と息子とシカゴ郊外で3人暮らし。中流階級とはいえ大きな家と庭から彼の辣腕による裕福さを感じる。
息子コンラッド(ティモシー・ハットン)は17歳の高校生。
彼は自殺未遂を起こし4ヶ月の入院を終え退院したばかりだ。
朝、食卓に着いているカルビン。さりげない様子の中にコンラッドに愛情を注ぎ気使っている様子がうかがえる
母のベスはコンラッドに好物のフレンチトーストを出した。
食欲が無いというコンラッドに食べるよう勧めようとはせず、皿をすかさず取り上げ手付かずのまま捨てた。
ベスは気にもとめていない様子で口調も変えず普通のようだが、その行動がなんだか冷たい。
コンラッドは兄のバックと二人でヨットを操縦し嵐で遭難し、兄が溺死してしまったことに自責の念にかられて手首を切って入院していたのだ。
彼は精神科医師バーガー(ジャド・ハーシュ)の元に通院するようになることで他に隠されていた深い家庭内問題が明らかになっていく。
母は死んだ長男を溺愛していた。明るく愉快で水泳が得意だった兄だけに愛情を示していた。
ベスはいつも冷静で決して露骨に出さないが、それは幼い頃からコンラッドが感じていた事実であり父カルビンも気づいていた。
コンラッドが入院中、1度も見舞いに行かなかった。
夫婦旅行を提案しカルビンがコンラッドも連れて行こうとすると不機嫌になる。

ベス自身でもコンラッドと上手くコミュニケーションを取れないとわかっていて何度か向き合おうとしたが、会話がちぐはぐになりますます気まずくなる。

ある日コンラッドが内緒で水泳を退部していたことを知人から聞いたことで自分に恥をかかせ傷つけるための面当てと非難し、ますますふたりの間に溝ができる。

バーガー医師は、自分の感情を出さず、他人のことばかり気にしているコンラッドに、感情を表に出すよう仕向ける。
自分だけを責め続けていたコンラッドであったが感情を外に向けることで以前とは違う見方ができるようになると、母が許せないのはコンラッドではなく母自身では無いかと気づく。
その後も、バーガー医師は友人の自殺を救えなかったことに自責の念に駆られたコンラッドの力になった。
やがてコンラッドにも気が合うガールフレンドが出来たりと様々な経験を重ねながら自分を取り戻していく。
父・カルビン
犠牲になったのはカルビンの心だった。
博愛主義でコンラッドに関心がないようにみえても、賢明で優等生だった彼を自分で解決すると子供だと兄と違う愛情の向け方をしていただけ。
外で仕事をし、安らげるはずの家では、母と息子の狭間でいつも気を使い声を荒げることなく穏やかに接し、誰より疲れていた。
そんな父を理解し、尊敬し、心配していたのはコンラッド。
終盤でコンラッドは一歩踏み出し母を抱きしめた。
今後の変化も期待できそうな展開であったが、時すでに遅し、カルビンの心がベスを受け入れられない状態になっていた。
まるで感情の追いかけごっこだった。
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《母が普通ではないこと・感想
今同じ歳の子供を持つ母の目線ですが、、、、
好きなことや好きな人には愛情を注げても、面倒なことや嫌いなものは避けてしまう母親。
社交的で完璧主義で、長男のバックに対しては普通以上に愛情を注いたのでしょうが、コンラッドに対しては実の子であるのに4ヶ月の入院中見舞いにもいかず、授業も遅れたはずの息子の進路や、再発の可能性も案じて暖かく見守るような当たり前のことさえ出来ないし今のままでいいと思って変える気もさらさらないベスのような母親には腹立だしさを感じます。
しっかりしているようでも、手をかけたくなくても、かかってしまうことが多い年齢。
母親の愛情が自分だけには向けられていない環境は今後その子供にどの程影響を与え心の痛手として残るのだろうか考えてしまいます。
でもバーガー医師や父が言ったように本来コンラッドは強いのだから、海で遭難しても生き残り、自殺未遂も偶然父が居合わせ発見されたのだから生かされたその強さで今度は父を守る番ではないかな。
本編にBGMがほとんど入らないことで流されない会話の重さが伝わってくる映画。
人物の性格設定がこまやかでキャストの演技も脇役含め見事でした。
監督ロバート・レッドフォードが俳優より光った名作。
第53回アカデミー作品賞、監督賞(ロバート・レッドフォード)、助演男優賞(ティモシー・ハットン)、脚色賞(アルヴィン・サージェント)の4部門獲得
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★『私の中のあなた』2004年アメリカ
★『インテリア』1978年アメリカ
★『普通の人々』1980年アメリカ
★『アメリカン・ビューティー』1999年アメリカ
★『8月の家族たち』2013年アメリカ
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