【イヴの総て】イヴのすべて1950年アメリカ映画★色を感じるモノクロの世界不朽の名作(All About Eve )

AMERICAN
今から68年前の公開であるが監督 脚本のジョセフ・L・マンキーウィッツをはじめ、演技美術音楽どれを取っても素晴らしく古さがなくモノクロ画面でも色を感じてしまうような作品。
実在する女優エリザベート・ベルクナーの周りで起こった出来事を元に原作が作られているそうだが、エリザベート・ベルクナーは、この作品のマーゴ役のモデル。
マレーネ・ディートリッヒも幼い頃に憧れたほどの大女優である。
        
《あらすじ》
冒頭は、演劇界最高のサラ・シドンズ賞授賞式会場、その名誉ある栄光を手に入れたのはイヴ・ハリントン (アン・バクスター)。
拍手喝采の中、イヴの笑顔とは対照的にただぼう然とその様子を見つめているふたりの女性の姿があった。
ひとりは誰もがその名を知っている大物女優マーゴ・チャニング(ベティ・デイヴィス)。
そしてもうひとりの女性はカレン・リチャーズ(セレステ・ホルム)。彼女の回想シーンから物語が続く。
カレンは劇作家ロイド・リチャーズ(ヒュー・マーロウ)の妻でマーゴの長年の友人でもあった
8ヶ月前ブロードウエイで演劇公演中の楽屋口にたたずんで毎晩マーゴの姿を追いかけている女性に気づいていた。マーゴに憧れを抱いていたイヴであった。
ある日イヴはカレンに声をかけ、マーゴに会わせてもらうことに成功した。
イヴの身の上話に同情したマーゴは付き人として雇うのだが、細かいところによく気がつき有能なイヴ。次第に嫉妬し警戒するようになる。
ヒステリックなマーゴに耐えるイヴという弱い立場を利用し今度はカレンに取り入ってマーゴの舞台の代役を務める。
その勢いでマーゴの恋人で演出家のビル・サンプソン(ゲイリー・メリル)に言い寄ったが失敗に終わったイヴ。
この辺りから、イヴの顔つきは鋭くなり豹変しはじめる。
批評家のアディソン・ドゥイット ジョージ・サンダース)を利用しマーゴを中傷するような記事を書かせたことで本性を知ったマーゴやカレンだが、カレンの弱みを握っているイヴはカレンを脅迫し、、、、
次なるターゲットは、、、、
また、イヴの身の上話が嘘であることや、恩人達を裏切ってのし上がろうとする行動の全ての真実を知っているアディソンは、、、
気が強くてわがままで感情をストレートに出すし時々ヒステリックになる大物女優のマーゴと、よく気がつき穏やかで優しく謙虚で控えめな女性イヴ。
鑑賞者はイヴを支えてあげたい、応援したいと思うのだが、物語が進むにつれイヴは実は頭の回転が早く総て計算していているしたたかな女に豹変、逆に大女優マーゴの幸せな結婚や女優の地位を守って欲しいと思う。
いつの間にか鑑賞者の心理を逆転させてしまうような手法と名演に脱帽する。
その時々の気分に流されやすく気持ちが二転三転するカレン夫人の人物像や脇役で登場する新人女優役のマリリンモンローも必見。
毒の強いマーゴの付き人バーディ役のセルマ・リッターも印象に残る(『裏窓』の看護婦役などの名脇役としても活躍)。       (↓画像右上白い衣装・マリリンモンロー)
《感想》 劇場前でマーゴの出番を待っているイヴのトレンチコートの左右背骨の部分2箇所が汚れていて、長時間寄りかかって立ち見をしていることを意味しているのか、細かい部分までよく表現されています。
女優への夢を叶えるための知恵と手段を選ばぬ陰湿な手口と実行する行動力。
あまり男性は見破れないものですが、この物語に登場する男性達は早い時期にイヴの本性を見抜いているのは演劇界に携わる鋭い目があるのだと想像します。
1950年前後のアメリカ社会は男は外で働く、女は良きベターハーフを探し専業主婦として家を守る思考がまだ強かったようです。
マーゴが40歳で8歳年下の恋人ビルを持つことや、先の人生への不安、若い女優が次々に生まれてることで老いの恐怖や自分を超えるかもしれない危機感が嫉妬となり彼女を情処不安定でヒステリックにさせるような、女性の心理を見事に表現しています。
結末はイヴで終わらず、イヴの部屋で寝込んでいた高校生のフィービー(バーバラ・ベイツ)が近い将来イヴの座を狙い次なる主役をめざす気配、女の野心とくり返される争いを連想させています。
バーバラベイツは私生活でも自殺未遂、夫の死、うつ病と波乱万丈の末43歳で自殺と、40歳過ぎたベティが案じていたような未来を実生活の結末として終えているのも皮肉なものですし大変残念です。
またエリザベート・ベルクナーの実体験が元になっているとすると完全な実話ではないにしてもイヴ・ハリントンのモデルの女性は存在したはずなので誰であったのか、その後どうなったのかも気になってしまいます。
 アン・バクスター、ベティ・デイヴィスをはじめとする俳優陣の熱演。
女の醜い内面を鏡に映し出したような心理描写によって見事なまでに美しくまとめられた永遠の名作映画です。
アカデミー賞、カンヌ国際映画賞、多数部門受賞
《余談映画・『シネマティックな恋人』(⇐感想記事有り)でバスの運転手ハロルドが女優のアマンダ・クラークの次回作の脚本に「君の役がイヴの総て』のアン・バクスターのように豹変したらもっと良くなる。」と決め台詞を言ったことでアンの心を掴むシーンがありました。
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