【サラの鍵】2010年フランス映画パリがヴェル・ディヴに泣いた日 Elle s’appelait Sarah ( Sarah’s Key)

Drama.ドラマ
原作は2006年に出版されたタチアナ・ド・ロネ(フランス語版)の小説『サラの鍵』。
60年ほど前にフランスで起こった事件と、現在の2つの物語が交錯しながら進む。
《ヴェル・ディヴ事件(Rafle du Vél’ d’Hiv)》
1942年7月16日第二次世界大戦下、ナチスドイツの占領下フランスでユダヤ人を大量検挙したヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件(Rafle du Vélodrome d’Hiver)が起こった。
パリのマレ地区に住む10歳のユダヤ人少女サラ・スタルジンスキ (メリュジーヌ・マヤンス)もその被害者のひとりだった。
冒頭で弟のミシェルと楽しそうにじゃれ合っているサラ。可愛くて大切な弟との幸せなひとときだった。
その時突然踏み込んできた警察官。
サラは母( ナターシャ・マルケヴィッチ)と検挙されそうになったときに弟の身を案じ見つからないように納戸に隠したのだ。
鍵を持って出たサラはすぐに帰れると思っていた。
ちょうど外出から戻ってきた父(アルバン・バイラクタライ)を含め3人は身柄を拘束され冬期競技場に多くのユダヤ人たちとともに監禁された。
そこは食料も水もトイレもない悪臭が漂う場所、絶望で自殺する者や気が狂う者もいた。
隣にいた女性はピンで自分の口中を切り吐血した病人を装い、ユダヤ人と見分けられるよう義務付けられていたダビデの星型を引きちぎり解放された。
サラと両親はミシェルの身を案じつつも成す術がないまま数日後に収容所へ移動になる。
そこで、家族3人は引き離されバラバラになってしまった。
高熱と体調不良で3日間寝込んでいたサラは病み上がりの体で友達になったラシェルとともに弟を救うため脱出を図る。
2009年ジュリア・ジャーモンド (クリスティン・スコット・トーマス)はパリ在住のアメリカ人ジャーナリスト。
夫は別性でフランス人のベルトラン・テザック (フレデリック・ピエロ)。
夫婦と娘は夫ベルトランの両親が1942年8月から住んでいた古いアパートを譲り受ける。
ジュリアは仕事でヴェル・ディヴ事件の犠牲者となったユダヤ人を特集することになり調査しているうちに譲り受けたアパートにサラたち家族が住んでいたことを知る。
時を同じくして、懐妊したジュリア。
当時のことを知っているが口を開こうとしない義理の父エドゥアルド・テザック -(ミシェル・デュショソワ)。
高齢出産に反対する夫ベルトラン。ほったらかしにされたようで寂しがる娘。
夫が堕胎を望み次第にふたりの心に亀裂が入っていく複雑な状況の中でもジュリアは調査を進めサラの足跡を辿っていく。

 予告動画↑ (全上映時間は111分)
ネタバレ少し含みます
収容所の警官の温情で脱出に成功したサラたちは、デュフォール夫妻に助けられるがラシェルがジフテリアで死んでしまった。
サラは男の子に変装しデュフォール夫妻とともに電車に乗った。
電車内で身分証の提示を求めてきた役人に封筒ごと渡した。
夫妻の証明書の下に隠された現金によってサラは見過ごされた。怯えつつも賄賂で通してもらうための一つの知恵だった。
そして3人はサラの弟ラシェルの元へ急ぐのだが、、、、
 
サラはデュフォール夫妻のもとに引き取られ成長しアメリカに渡り結婚した。
ジュリアはその後の足取りを追うため母国アメリカへ行った。
人には触れて欲しくない過去がある。
それが見ず知らずの他人によってほじくり返されたり、身内さえ知らない隠された真実となれば直さらのこと。
ジュリアの義父にしても封印した過去を息子の嫁が探り記事にしようとしている行為は許しがたい思いがあったろう。
 
感想》
過去を引きずったまま生涯を終えたサラ(大人のサラ・シャルロッテ・ポートレル)。
我が子のようにサラを愛し育て、去られてしまったデュフォール夫妻の悲しみ。
母の過去の真実を全く知らぬまま生きてきたサラの息子ウィリアム・レインズファード ( エイダン・クイン)。
悲劇と優しさと悲しみが入り混じる映画でした。
ジュリアの夫婦間の問題や、サラの息子ウィリアムが初対面のジュリアを突き放したり、後日感謝したり、男女間の会話、そして結末以降の予感がやはりフランス映画だなと感じました。
子供のサラ役メリュジーヌ・マヤンスは素晴らしい熱演、大人役のシャルロッテ・ポートレルはロザムンド・パイク似のどこか影のある大変美しい女性で背景画像がイメージに合い効果的な演出でした。
優れた作品として記憶に残り、観ておくべき映画でありましたが、ヴェル・ディヴ事件のリアルな描写や少女サラに起こった悲劇を痛感しサラの人生が心に刺さって離れなくなってしまい再び観ようとは思えません。
★監督は『ダーク・プレイス』のジル・パケ=ブランネール
★女流作家タチアナ・ド・ロネの原作フランス映画
    『サラの鍵』2010年
    ミモザの島に消えた母』2015年
    『Moka』2016年
★ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件関連フランス映画
    『Black Thursday』1974年
    『パリの灯は遠く』 1976年
    『黄色い星の子供たち』2010年
    『サラの鍵』2010年
★関連のおすすめ映画
 『やさしい本泥棒』(The Book Thief)2013年アメリカ映画ですが1938年第二次世界大戦前夜のドイツが舞台。反ユダヤによる暴動で大量に焼かれた本の中で焼け残った本とそこから生まれた少女の愛や希望を描いた珠玉の作品。
 『ダンケルク』(Dunkirk)2017年イギリス.オランダ.フランス.アメリカ4カ国合作映画。第二次世界大戦のダンケルク大撤退が描かれている実話。ドイツ軍によってフランスダンケルクに追いやられた英仏軍をイギリス軍が陸海空で救出作戦を展開する壮大なリアル映画。アカデミー3部門他多数賞受賞。
[amazonjs asin=”B078HF3HFT” locale=”JP” tmpl=”Small” title=”サラの鍵 DVD”]
[amazonjs asin=”4105900838″ locale=”JP” tmpl=”Small” title=”サラの鍵 (新潮クレスト・ブックス)”]

ピックアップ記事

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。