【午後8時の訪問者】2016年ベルギーフランス合作映画 女医はマイノリティーの実情にメスを入れるLa Fille inconnue

Drama.ドラマ
ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ(兄弟)監督の待望の2016年の新作映画
  イゴールの約束から20年 ダルデンヌ作品にほぼ毎作登場するジェレミー・レニエ、オリヴィエ・グルメ、ファブリツィオ・ロンジョーネの3人の男優、今作の役どころにも注目。
町の診療所で入院中のアブラン医師(ファブリツィオ・ロンジョーネ)の代診で勤務しているのは女医のジェニー.ダヴァン(アデル・エネル)
貧困層の保険治療が多く多忙な割にお金にはならない場所のようだ。
往診もあり、時間を問わず患者から頻繁に電話もかかってくる。
ジェニーは患者に対し親切で丁寧な診察をし、深入りしすぎない適度な距離感を保っている。
有能で理想的なタイプの医者と言えよう。
《簡単なあらすじ 》
ある日研修医の青年ジュリアンがひきつけを起こしている子供に動揺したことに意見していた時に電話が鳴り、電話の最中に今度はインターフォンが1度だけ鳴った。
急患を心配し出ようとしたジュリアンに、話を遮ったようで少しイラついたジェニーはもう夜8時だからと制した。
ところがその1度のベルを鳴らしたアフリカ系の少女がそのすぐ後で亡くなり、遺体となって発見されたのだ。
ジェニーは扉を開けなかったことに後悔と責任を感じ、身元と死の真相を確かめるため動き始めた。
せめて遺骨だけでも親元に返したい、身元が分からなければ自分で墓を作ろうとさえ思っていた。
一方、ジュリアンは医者になる夢をあきらめて故郷に帰ってしまった。
医師としてミスは許されないようなストイックさと、自分の感情を抑え平静を装いながら実は繊細な手術を行うような細やかな神経を持っているジュリア。
往診先で患者の少年ブリアンの脈の速度の変化から、亡くなった少女のことを何か知っていると感づいた。
だが少年の口は重く、やっと開いた糸口もその先で関わっていそうな人たちは皆少女との関わりを隠そうとする。
身勝手な調査に刑事から注意を受け、チンピラからは脅され、更にブリアンの父(ジェレミー・レニエ)の異変にも気付くのだが、、、、、、、
亡くなった少女のの身元や死の真相は、、、、、
監督メッセージつき予告動画
映画『午後8時の訪問者』公式サイト www.bitters.co.jp/pm8/
感想など
刑事は少女の身元がわかったとセレナ・エヌドングという名を伝えているが 実はフェリシ・クンバであった。
警察の誤認だったのか、ジュリアンにこれ以上事件に関わらないよう嘘の情報を伝えたのか。
人は弱っている時に優しくされるとつい頼ってしまいがちになる。
相手のことを理解し最小限に止めることができる人が多いが依存し頻繁に頼るようになりついには相談を受ける人の方の生活を脅かしかねない。ジュリアンはそのあたりの接し方やかわし方は実にうまいが、診療所や開業医が足りない社会と、彼女の携帯電話に患者から頻繁に電話がかかってくることには問題がありそうだ。
ジュリアンは23人の候補から選ばれてセンターの医師に就職が決まっているのに断った。
少女の死が、身近で困っている人の助けになりたい思いを強くさせたようであるが長期的に考えれば医師から離れたプライベートな時間をもっと多く持つべきだ。
パスポートの提示を求められるので病院での治療を拒む移民、自宅のガスを止められたが糖尿病の悪化で歩けず1㎞先の福祉事務所へ手続きに行けない患者、貧困による移民の買春や、開業医不足や研修医ジュィアンの過去の父親による虐待のトラウマなど身近に起こるベルギーの社会問題を映画の中で多数取り上げている。
アデル・エネルの仕草や表情の名演がダルデンヌ監督作品の特徴とも言える挿入曲が無いドキュメンタリーのような手法によりリアルに鑑賞者に伝わってくる、重みのある素晴らしい作品でした。
ダルデンヌ監督については『イゴールの約束』の感想記事でも取り上げています。(←pushリンク)
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