【蝶の舌】1999年スペイン映画・幼い少年は精一杯の愛の暗号を叫んだ! La lengua de las mariposas

Drama.ドラマ
ガリシアの美しい自然を舞台に、少年は貧しい暮らしの中で喘息の発作と闘いながら生物の驚異を知り、死とは何かを考え、初恋や音楽に触れ、内戦の別れと悲しみを経験しながらも成長していく。
ホセ・ルイス・クエルダ監督  上映時間95分
1999年サン・セバスチャン国際映画祭正式出品
 1999年スペイン・アカデミー<ゴヤ>賞脚色賞
《あらすじ》
スペイン内戦の直前の1936年のガリシア地方の小さな田舎町。
仕立て屋ラモン(ゴンサロ・ウリアルテ)の息子モンチョ(マヌエル・ロサノ)は、母(ウシア・ブランコ)と年の離れた兄アンドレス(アレクシス・デ・ロス・サントス)との4人家族。
8歳のモンチョには喘息があり少し遅れて小学校に入学した。
内向的な性格で先生に叩かれる恐怖心に怯えていたのだが、担任のグレゴリオ先生(フェルナンド・フェルナン・ゴメス)に優しく接し迎え入れた。
先生の普通の勉強以外の、自然の生物や植物の話をした。
蟻がミルク砂糖を得るため家畜を飼うこと、水蜘蛛が何百年前に潜水艦を発明したこと、蝶にゼンマイのような舌があること、ティロノリンコというオーストラリア産の鳥はメスに蘭の花を贈る、、などはモンチョにとって新鮮で興味深いものばかりだった。
また、友人ロケとの冒険やアウローラへの淡い恋心、、、
異母兄弟カルミーニャの存在も知る。
兄アンドレスはサックスで楽団入りし、海外での演奏旅行のためモンチョも旗持ちとして同行、そこでは兄の理想の中国女性が現れるが、、
思想の違う共和派アサーニャ(政権)支持する父と信仰派の母、やがてフランコ将軍が当選し正統な人民政府に反旗を翻したスペインは内戦に突入しモンチョの村でも共和派を取り締まるようになった。
 
 La lengua de las mariposas(蝶の舌)↑予告動画・英語
《ネタバレ含むあらすじ》
退職したグレゴリオ先生はモンチョの父の仕立てた背広を身につけ兵士に連行されていった。
『宝島』の本と虫採り網をプレゼントしてくれた先生。
顕微鏡を取り寄せ生物や植物の知識や関心を高めてくれた先生。
母親に言われモンチョも最後にトラックに乗せられた先生に、「アカ」「アテオ」(ateo スペイン語  無神論者)と叫ぶ。
そして他の声に混じって「ティロノリンコ、蝶の舌」と続けた。
子供のモンチョには深い理由もわからず反抗することもできないが、ティロノリンコも蝶の舌もグレゴリオ先生とモンチョだけに通じる精一杯の求愛の意味『先生大好きだよ」を込めていると感じたし、その思いはきっと先生に届いたであろう。
 
感想》
共和派を貫き楽団のアコーディオン奏者やロケの父、そして先生が連行された中、モンチョの母は知人人に罵声を浴びせたりしながらも党員証を焼いたりして父の逮捕を防いだだことは家族を守るための強さであった。
家族が揃っていることだけでもどれほどありがたいのか、、、
派手さのない映画ですが、モネの庭を連想させるような池や森は大変美しく穏やかな気分になります。
夜の室内で、テーブルに虫が這っていたり、椅子の上を移動していたり、あえてカメラを向けていないので見落としがちですが細かいところでリアル感を演出しています。
22歳で亡くなった妻を思う高齢のグレゴリオ先生にとってモンチョは孫のような存在、自然を愛し生徒たちの成長を見守ることが幸せだったのでしょうか、モンチョにとってもたとえ短い期間でも良き師にめぐり会えたことは宝物です。
内戦で失った絆や理不尽な社会をできるだけ柔らかな映像で重く心に訴える演出に優しさを感じます。
幼い少年モンチョの目線が伝えた小さな村の出来事は奥の深い世界でした。
グレゴリオ先生役のフェルナンド・フェルナン・ゴメスの名演、モンチョ役マヌエル・ロサノは2500人ほどの中から選ばれたそうですがの目の動きや自然な表情と動きは素晴らしすぎて見事としか言えません。
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★原作本(スペイン語)Manuel Rivas著書『¿Qué me quieres, amor?』
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★マヌエル・ロサノ(Manu Lozano)
現在もスペインのTVドラマや映画で活躍されています。
モンチョがそのまま成長したような(だいぶワイルドにもなっていますが)自然を愛するナチュラルな雰囲気の役者さんです。
Manu Lozano著書『Otro Mundo』
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『ふたりのトスカーナ』(←感想記事あり)2000年イタリア映画・小説家ロレンツァ・マッツェッティの自伝の映画化。第二次世界大戦下、交通事故で両親を失い引き取られた幼い姉妹が引き取られたトスカーナの叔母一家(叔父は物理学者アルベルト・アインシュタインの従兄弟)の悲劇を描いた映画。

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