【ふたりのトスカーナ】2000年イタリア映画・作家ロレンツァ・マッツェッティの実話自伝小説から製作されたIl cielo cade

Documentary.実話
アインシュタインの従兄弟を伯父に持つロレンツァ・マッツェッティLorenza Mazzetti  の自伝小説『Il cielo cade』1962(天が落ちてくる)が原作、幼い姉妹が体験した悲劇の過去を映画化
監督・アンドレア&アントニオ・フラッツィ(双子の兄弟での監督)   上映時間102分
脚本・スーゾ・チェッキ・ダミーコ(女性脚本家当時86歳)
2000年:イタリア・ジッフォニ青少年映画祭・金賞(最優秀賞)ブロンズ賞(最優秀女優賞)
フロリダ フォート・ローダデイル国際映画祭審査員賞(最優秀外国語映画)  ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞主演女優賞、2001年:ベルリン国際映画祭ドイツ児童救済週間部門特別賞(最優秀作品)
 東京都知事推奨 厚生労働省社会保障審議会推薦 東京都教職員組合推薦
《あらすじ》
第二次世界大戦中1943年、交通事故で両親を失った幼い姉妹の姉ペニー(ヴェロニカ・ニッコライ)と妹ベビー(ラーラ・カンポリ)はトスカーナの伯母ケッチェン(イザベラ・ロッセリーニ)の一家に引き取られた。
その家は農場を経営する叔父(叔母の夫)ヴィルヘルム・アインシュタイン(ジェローン・クラッベ)を頭に叔母とふたりの姉妹(長女のマリー(アッズラ・アントナッチ)と次女のアニー(セレーネ・アルタウロ)の4人家族。
アインシュタイン家は音楽と芸術を愛する人々が集まる場所でもあり、始終ドイツ語の会話が飛び交い、ヴィルヘルムの従姉妹で画家のマヤ(エレナ・ソフォノバ)とその夫のアルトゥロ、ピアノ教師のピット(ポール・ブルック)、の他にも芸術家の出入りが多く使用人も大勢いた。
ペニーは当初従姉妹にあたるアニーの嫉妬で意地悪をされた。
また自分が叔父や叔母から愛されていないとの思い込みから自殺騒ぎを起こしたりもしたが、時とともに次第に家族や友達の絆が深り、居心地良く楽しい毎日を過ごせるようになった。
しかしその幸せな時は長くは続かなかった。
トスカーナはそれまでムッソリーニの神格化が図られ国家ファシスト党地方支部の支配下に置かれていたが1943年7月に連合国軍がシシリー島に上陸し不信任を受けたムッソリーニが逮捕された。
アインシュタインに身を寄せていた芸術家たちはスイスに逃亡し、ペニーの住むアインシュタイン家はドイツ国防軍が部署として占領し居座ったのだ。
メイドのローザは身重であったが恋人がパルチザン側についていたためにどこかへ拉致されて未婚の母となってしまった。
身の危険が迫ったアインシュタイン家の主人のヴィルヘルムもついにレジスタンスを担うパルチザン入りを決意したのだが、、、、、
『Il cielo cade』(ふたりのトスカーナ/字幕無し)
《ノーベル物理学者アインシュタインの親戚
原作者ロレンツァ・マッツェッティの伯母(実父の妹)の夫に当たるヴィルヘルム・アインシュタインはユダヤ人で、亡命した物理学者アルベルト・アインシュタインの従兄弟であり親友であったことからドイツ軍(ナチスの親衛隊)から狙われていた。
アルベルト・アインシュタインはユダヤ人国家建設運動シオニズムを支援したためナチス・ドイツから迫害を受けアメリカに亡命し1940年にアメリカ国籍を取得しているが幼い頃にヴィルヘルムと遊んだ思い出は多かったようだ。
実話との相違
画家としての活動経験もある原作の作家ロレンツァ・マッツェッティは、実際は双子でパウラ・マッツェッティは同じ歳で(映画では役柄・ペニーとベビー姉妹)両親は交通事故死でなく母親が出産直後に他界したため父は親権を手放した経緯がある。
叔母とふたりの子供が射殺されたあとロレンツァとパウラ(役柄・ペニーとベビー)は実の父に引き取られ、その後傷心の癒えぬ叔父は自殺した。(出典Lorenza Mazzetti – Wikipedia)
感想・ネタバレ含みます
ペニーは皆から賢いと言われているように、子供らしい無邪気さと先を読んでいる頭脳明晰さを感じます。
両親を失った寂しさや受け入れてもらえないような感受性の強さから首を吊ろうと試みたりしたのもペニー(作者自身)の利発さから気をひく手段として演出も含まれていたのではないかと感じてしまいます
アインシュタイン家の長女マリーの日記を盗み読みし従兄弟のレオナルドへの想いがあることを伝えてしまったり、夫を3人持ちたいと独り言を言ったり、メイドのローサのSEXを覗きに出かけたりしていることなどから非常に好奇心の強い少女でもあったようです。
また、ムッソリーニに手紙を書いたり、家にドイツの兵隊がいると退屈しないという発想、危険が迫った叔父の便宜をはかってもらうため将軍にお茶のおもてなしを設定し招いていることからも政治への関心の深さも持っている反面、叔父がユダヤ人のためキリスト教を信仰しないことがまだ理解できていない。
将軍に叔父を救うよう頼むつもりが直前でお呼びがかかって言えずとなってしまったが、もしあの時話を聞いてもらえていたら、また英国の兵隊の到着がもう少し早ければ叔母たちは助かっていたかもしれないという、利発だからこそ気づく後悔や無念さも強かったことと思います。
一方妹ペニーはドイツ語が喋れなかったり、つまみ食いしたり、肥溜めに落ちたりしていることからも、マッツェッティ(双子)姉妹の性格の違いがあったようになんとなく感じ取ることができ、著者のロレンツァ・マッツェッティが自身を活発で行動的なペニーとしていたとすると妹は純粋であどけない奥手な性格なのかなあ、と興味深いです。
トスカーナの田舎の風景は、森の香りや水の音や鳥のさえずりが伝わってくるほどリアルで美しく、そこでのびのびと暮らし、遊び、穏やかなシーンが長いので、悲しく残酷な結末ですが短めのカットで重すぎないように配慮されています。
笑えるシーンあり、癒される自然あり、戦争が与えた悲劇を上手く描写し重く伝えている驚きと涙ありの感動作です。
マッツェッティ姉妹が幼少期〜思春期の辛すぎる体験を乗り越え、その後も苦労されながらも切り抜け生きてこられて、そしてアインシュタイン家の命をも受け継いだように今もおふたりとも(2018年現在91歳)ご健在。
首に掛けられたクルスがユダヤ人でないことを証明したことで救われた命。
封印したいであろう当時の出来事を後世に伝える使命と感じてそれも果たしていらっしゃることは大変素晴らしいことです。
《双子にまつわる余談
監督のアンドレア&アントニオ・フラッツィは双子である。
叔母役のイザベラロッセリーニはイングリットバーグマン 娘で双子である。
原作者(主人公)も実は双子で、2018年現在も91歳でともに健在である。
偶然の産物となっているようです。
関連する映画
★『無防備都市』1945年イタリア映画(モノクロ)
監督・ロベルト・ロッセリーニ 
脚本・フェデリコ・フェリーニ 
脚本執筆・スーゾ・チェッキ・ダミーコ
 第二次世界大戦末期のローマを舞台に、ナチスに立ち向かう3人のレジスタンを主人公に実写フィルムを交えて描いた映画
余談
・この映画を観たイングリットバーグマン が監督に手紙を書いたことで恋愛スキャンダル結婚に至り『ふたりのトスカーナ』の叔母役のイザベラロッセリーニが生まれている。
・『ふたりのトスカーナ』の原作本を読んだフェデリコ・フェリーニが「これほどのめり込み楽しんだことはめったにない。」と絶賛している。
脚本執筆のスーゾ・チェッキ・ダミーコは『ふたりのトスカーナ』の脚本も手がけている。
★『ムッソリーニとお茶を1998年イギリス、イタリア合作映画
フランコ・ゼフィレッリ監督自身の自伝的映画(1923年2月12日トスカーナ州・フィレンツェ生まれ2018年現在95歳)
1935年~1940年のフィレンツェ、私生児の少年と少年の教育を頼まれた5人の異国人の女性たちのふれあいとやがて起こる外国人排斥運動。
危険の迫った女性たちを救うのは、、、キャストはシェール他、イギリス大物女優マギー・スミス、 ジュディ・デンチなどの豪華な顔ぶれ。
『ふたりのトスカーナ』にも出てくるムッソリーニや1927年(監督より4歳若い)同じフェレンツェ生まれのロレンツァ・マッツェッティ(『ふたりのトスカーナ』原作者)との関連を想像して鑑賞しても面白い。
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