【抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より】(抵抗-死刑囚は逃げた/DVD)1956年実話フランス映画ロベール・ブレッソン監督の至極芸術

Documentary.実話
原作はアンドレ・ドゥヴィニが第二次世界大戦中ドイツ軍に抵抗する一人の青年が反ナチ運動をし捕虜になった体験の実話小説『死刑囚は逃げた』を実際ゲシュタポの捕虜になった経験を持つロベール・ブロッソンが監督し制作。
単なる記録映画でなく独特の手法を用いた芸術作品として念密な計算のもと作り上げた至極の映画。
DVD題『抵抗 死刑囚は逃げた』
原題は『死刑囚は逃げた、あるいは風は己の望む所に吹く』
Un condamné à mort s’est échappé ou le vent souffle où il veut
監督、脚本:巨匠ロベール・ブレッソン  上映時間97分
《要約》
全般通して主人公が日記や心の中をナレーションしている作りで会話をするセリフは最小限に留められ非常に少ない。
ストーリーは路上で逃亡を試みたフォンテーヌ中尉が加重刑により死刑宣告をされる。
刑務所で脱獄計画を立て実行にむけて、念入りにコツコツと準備を行うシンプルな話なのだが狭い空間で手に入る材料利用しながら実に巧妙に細工をしていく。
器用な手先は目を奪われるほどに美しい。
また度々訪れる危険にハラハラドキドキしながら鑑賞者自らがフォンテーヌになったような緊張感さえも味わってしまう。
あらすじ
1943年、ドイツ占領下にあったフランスのリヨンでフォンテーヌ中尉(フランソワ・ルテリエ)はナチス・ドイツに抵抗するレジスタンス運動に身を投じモンリュック監獄へ護送させられる途中の乗用車から飛び降りたが脱走に失敗し、手錠をかけられ独房に入れられた。
脱走を諦めきれないフォンテーヌは鉄格子のついた窓によじ登ると、時々外を散歩していた3人の囚人紳士のひとりテリーが通信手段になってくれた。
窓から紐を下ろし、その先端に巻きつけたハンカチの中にメモを入れ、テリーから鉛筆や紙や、手錠を開けるピン、など必要なものを調達してもらった。
また隣の囚人と壁越しに通信しあった。
作中女性は出てこないが、フォンテーヌの言葉から女子刑務所も隣接しているようである。
それなりの通信ができる環境を得たフォンティーヌであったが1階から3階の独房へ移され隣人やテリーと連絡が取れなくなってしまう。
3階の独房では手錠は外されたが汚物を捨て顔を洗う以外は外に出られない。
だがドアの6枚のオーク板の継ぎ目が別の木材で分解できそうだったため食事が運ばれる時のスープのスプーン(鉄のサジ)で毎日少しずつドアの継ぎ目を削りケズり、カスを捨てた。
正面の部屋の男オルシニに不意の看守などから守る手助け(咳払いの合図)を頼みドアの継ぎ目を外し黒く濡らした紙を継ぎ目に埋めていった。
窓越しに隣の男ブランシュと話したり汚物を捨て顔を洗う際に他の囚人牧師ドゥ・レリスと話す機会もあった
1ヶ月でドア板は外せるようになったが脱出方法やタイミングが浮かばないうちに一緒に逃亡を考えていたオルシニは先に逃亡に失敗し銃殺されてしまった。
フォンティーヌはオルシニのアドバイスをもとに採光窓や送られてきた小包の中の服や布を裂いて綱や鉤(かぎ)を作りさらに念入りに準備をしていたところで、ホテル・テルミニュス(ゲシュタポ本部)に連行され重刑で銃殺による死刑を言い渡されてしまう。
幸い元の独房に戻されたが、自室にはフランソワ・ジョスト(3日前脱走に失敗したフランス人の少年)が入れられていた。
早く脱獄しないともう時間がない、彼は敵か? これは罠か? 彼を殺そうか、、迷いつつも味方にしたフォンティーヌ、、、
はたしてふたりの脱獄劇は、、、、、
 
↑フランス語予告『Un condamné à mort s’est échappé ou le vent souffle où il veut』日本語なし
主役・フランソワ・ルテリエ
ロベール・ブレッソンは役者をキャストに使わないことで有名ですがフランソワ・ルテリエ(François Leterrier )も監督に見出され主役を務めています。
デビュー作とは思えない細やかな手先と表情、素晴らしい演技と美しい顔立ちで魅了されます。
その後1993年ごろまで俳優兼監督として活躍していたようで2018年現在もご健在です。
息子のルイ・レテリエもまた『トランスポーター』『ダニー・ザ・ドッグ』『タイタンの戦い 』『グランド・イリュージョン』などの記憶に残る素晴らしいヒット作品を制作する監督です。
 
感想★★
タイトルに「逃げた」とあるもののブロッソン作品は悲劇が多いので結末の予想はつきませんでした。
暗いテーマでなおかつ夜のシーンが多いですが真っ暗でなく見やすいモノクロトーンで仕上げられているので目が離せずそれでいて疲れません。
脱獄をテーマに扱った映画は多いですがこれほど画像が美しく、脱獄の準備の細やかさや細部へのこだわりが感じられる作品は他にないと言っても過言ではありません。
闇の静けさ中時折響く女性のような悲鳴や銃声、カラカラと音を立てて階段を上り下りする看守、時報を知らせる鐘、列車の通過する轟音、砂利を歩く足音、古い自転車がギイギイと音を立て、、、効果音がより緊張を促します。
シンプルなストーリーで派手なアクションもなく大変静かな映画ですがフォンテーヌ心臓の鼓動が聞こえてきそうでその音で計画を気づかれないか、またそれは自分の心臓と同化しそうな緊迫感でもあって見応えがあります。
そして時代が作った罪(死刑囚)に対する抵抗のメッセージを静かに重く訴えている。
ロベール・ブレッソンの監督作品は鑑賞し尽くしてはいませんが個人的には一番お気に入りの作品です。
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◎ロベール・ブレッソン監督オススメ映画
★☆田舎司祭の日記1950年 病魔に侵された若い神父の日々の出来事と心の格闘を描いた普及の名作。
わびさびや哀愁ある空気感や虚しさはひんやりと強く心に刺さります。
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ラルジャン 1983年 一人の青年が偽札を摑まされたがために人生が狂ってしまいやがて全てを失ってしまう。巧みに計算された展開に驚くとともに、ストーリーの結末にはやるせなさが残る。芸術性の非常に高い映画ですが悲劇が苦手な方にはあまりオススメできません。
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★追記・ブロッソン幻の初カラー作品映画【やさしい女ドストエフスキーの短編(Кроткая)の映画化
是非DVD化を期待!!
公式オフィシャルサイトは http://mermaidfilms.co.jp/yasashii2015/

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